ドローン操縦士は、空を共有する飛行機について知る必要が有る!

飛行機(旅客機)のイメージ画像

ドローン操縦士は、空を共有する飛行機の安全を常に優先し対処しなければいけない。そんな飛行機について、私達はどれほど知っているだろうか。

今回は、飛行機の特性について触れ、こんな工夫がされた大きな旅客機、小さなセスナ機、ヘリコプター等と安全に空を共存するための心得をお伝えします。

先ずは、航空法第132条85をおさらい 無人航空機が飛行してはならない空域の確認について

航空法で定められている飛行禁止空域の図

この無人航空機飛行禁止空域の(A)(B)(C)については、航空機の航行の安全に影響を及ぼす恐れが有る空域とされています。この空域を分けることで、航空機と無人航空機は安全に共有されています。

航空機は様々なルールと機能を備えている

航空機にはこんなルールがある

航空機ってこんな高度を飛行してます

航空機(旅客機)の飛行高度をイメージした画像

航空機は基本的には約3万3,000フィート、メートルに換算すると約1万mの上空を飛んでいます。この高度には幅があり、おおよそで8,000~1万2,000m前後となります。
運航高度が約1万mである理由は、空気密度と燃料消費率にあります。この高度では空気抵抗が小さく、少ない燃料で効率的に飛行できます。一方、高度を上げすぎると酸素が不足しエンジンの燃焼が困難になるため、1万m前後が最適とされています。ちなみに、航空機が離着陸以外で許される最も低い高度が航空法で決められている都市上空では1,000フィート(300m)、それ以外(離着陸などの空港周辺や緊急時含む)では、500フィート(150m)となります。

航空機の運航高度の決め方について

航空機は機長が作成する飛行計画書をイメージした画像

航空機が飛ぶ前に、安全な運航のために航路の気象条件等の情報収集、最適と思われる高度や予定飛行時間などが記された飛行計画書(フライトプラン)が機長より提出されます。それを元に、同じ時間帯に同じ高度の航空機はないかなど、飛行の安全に関するあらゆる条件を管制機関がチェックします。比較的短距離での飛行計画の場合では、燃料消費が嵩む上昇・降下の時間を減らすため、できる限り低めの運航高度を選ぶ事となり、その航空機が目的地付近まで維持すべき高度が決められるというわけです。

航空機の安全を守るトラフィック管理

航空機のトラフィック管理(管制業務)について

日本の航空法において、管制部での管制業務に付いては、次のような取り決めがある。

管制部から指示を受け航空機が飛行する二つの飛行方式について

IFR(計器飛行方式)(旅客機)
航空管制官に管制承認を受け、常時管制官の指示に従って飛行する方式

VFR(有視界飛行方式)(セスナ機、ヘリコプター)
パイロットが他の航空機や障害物を確認し、衝突を避けながら飛行する方式

日本の管制部とその領域について、飛行情報区(FIR)とは航空交通の安全を担う区域

日本の航空交通管制部について示した画像

FIR(Flight Information Region)飛行情報区とは、各国が航空交通業務を担当する区域を指します。ICAO(国際民間航空機関)によって設定され、航空機の航行に必要な情報提供や捜索救難活動が行われる空域で、航空交通の流れをスムーズで安全にすることを目的としています。

日本では、4つの管制部センター(東京、札幌、福岡、那覇)が存在し、その名称には国名だけでなく、洋上を含む飛行情報業務を担当するセンターの名称が付けられています。
日本の飛行空域は「福岡FIR」と呼ばれ、嘗ては、沖縄(鹿児島も一部含む)が那覇管制部、それ以外は東京管制部が担当していた洋上管制業務を、2005年に福岡に設立された航空交通管理センターが2006年から担当し「福岡FIR」となりました。

国土交通省 管制業務 より

その飛行管制業務の内容について

日本の福岡(FIR飛行情報区)内の管制区と管制業務を示した図

国土交通省 管制業務 より


【航空路管制業務】
空港周辺の空域を除く、高い上空を飛行する航空機に対して飛行経路、高度の指示等を行なう業務

【飛行場管制業務】
管制塔から空港近辺を飛行する航空機、滑走路に離着陸する航空機、地上を走行している航空機に対して行なう管制業務

【進入管制業務】
空港周辺の空域(進入管制区)を飛行する航空機に対し、進入・出発の順序、経路、方式の指定、及び上昇・下降等を指示する業務

【ターミナルレーダー管制業務】
レーダーを用いて行なう進入機の管制業務

【着陸誘導管制業務】
着陸目的の航空機に対し、レーダーを用いて飛行のコースと高度を指示し、地上から滑走路への誘導を行なう業務

国土交通省「航空管制業務について」より)

航空機(旅客機)とドローンのニアミスイメージ画像

空港の周辺空域のドローン飛行禁止空域の再確認 

管制業務が分かったところで、再度ドローン操縦士であれば必ず知っておきたい、空港周辺での飛行で最も注意するべき事項として航空法で定められている制限表面については、覚えていますか。

【制限表面の設定】 国内全ての空港が設置されています。

航空機が安全に離着陸するためには、空港周辺の一定の空間を障害物が無い状態にしておく必要があります。このため航空法において、次のような制限表面を設定しています。

空港周辺での制限表面についての図
引用先:中部国際空港 セントレア 制限表面説明資料 より

制限表面については、国内各空港共通のものと、国内政令空港(16空港)で制限される表面が有る

【国内空港共通の制限表面】  

① 進入表面   
離陸時の航空機の安全を確保するために必要な表面

②水平表面   
低空飛行での旋回飛行時の安全を確保するために必要な表面

③転移表面   
侵入やり直しの場合に側面方向への安全を確保するために必要な表面

【国内の政令空港16空港に存在する制限表面】※札幌千歳空港は入らない。
(成田、東京国際(羽田)、中部国際、関西国際、釧路・函館・仙台・大阪国際・松山・福岡・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・那覇の各空港

① 円錐表面   
大型化、高速化による旋回半径の増大に対応した安全を確保する表面

② 延長進入表面 
精密侵入方式(誘導電波使用)の悪天候時の安全に必要な表面

③ 外側水平表面 
航空機が最終直線進入を行うまでの安全を確保に必要な表面

飛行機に搭載されている様々な機能

飛行機の姿勢制御機能の図

飛行機の姿勢制御装置

飛行機の姿勢制御には、主翼両端にエルロン(補助翼)、水平尾翼にエレベーター(昇降舵)、垂直尾翼にラダー(方向舵)があり、それぞれを操作して機体の生成を制御します。

飛行機の姿勢制御の動き

水平尾翼のエレベーターによって制御されるピッチング(ピッチ)は、上昇下降時に使用され、主翼両端のエルロンによって制御されるローリング(ロール)と垂直尾翼のラダーによって制御されるヨーイング(ヨー)を合わせて使用して旋回する。

飛行機の姿勢制御の動きと名前

 

飛行機のウィングレットの画像

突然ですが!主翼の先端にある折れ曲がって立っている部分「ウィングレット」の重要な役割を知ってますか。

旅客機の主翼には、いろいろな機能が搭載されています。先ずは、ウィングレットの機能を紹介

飛行の大敵「翼端渦」による影響を抑えるウィングレットの機能

翼端渦についての説明
翼端渦の影響について説明

因みに、同じ翼を持った鳥は、気流を活用している

翼端渦の上昇気流を使った渡り鳥の説明
旅客機の翼の機能をイメージした画像

他にも有るぞ ! 主翼には多くの機能

旅客機の主翼には、他にも機能が搭載されています。フラップ、スラット、スポイラーの機能を紹介

飛行に必要な揚力を操る機能、フラップ、スラットについて

旅客機の主翼、尾翼にある姿勢制御機能を説明
旅客機の主翼部分の高揚力装置の説明

高抗力装置(スポイラー)について

旅客機の主翼にある高抗力装置の説明

上反角と後退翼による補正力

 

飛行機の上反角によるメリット説明
飛行機の後退翼によるメリット説明

まとめ

このように我々ドローンの操縦士が、空を共にする飛行機は、我々と同じ航空法に準拠し、いくつものルールに従い運航されいます。また、機体の機能については、遠い昔120年以上前に人類初の有人飛行を行った、ライト兄弟の作った「ライト・フライヤー号」から機体機能は脈々と進化を続けており、いくつもの航空事故の教訓から修正改善もあり、安全運航第一としたものとなっています。

最後まで御覧頂きありがとうございました。今回は第一段として旅客機(飛行機)を取り上げましたが、今後ヘリコプターの機能についてもお伝えしたいと思っております。

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