日本版GPSシステム「準天頂衛星みちびき」について語ろう
世界の衛星システムと日本版GPSである「準天頂衛星みちびき」のバリューについて
ドローン操縦士や、地域の防災・減災活動を行う私達ドローン減災士においても非常に大切な位置機能、GNSSの恩恵を受けて飛行しています。GNSSについては、国家ライセンスである無人航空機操縦士技能証明学科試験を勉強された方なら馴染みがあると思いますが、その中に日本の「準天頂衛星みちびき」も列挙されています。実は、GNSSの仲間では無いことや、現在のDJI社製機体は受信していない事実は御存知だろうか。
GNSS(Global Navigation Satellite System)については、アメリカ、ロシア、ヨーロッパ、中国、など下記の衛星が約2万km~上空にて地球の周りで活躍している。
GPSについては、勉強された方も多いはず。送られる信号の出力は約50Wと小さいため減衰が大きく、室内の場合は受信できないことや、GPSから送られて来るデータについては、25フレームあり、1フレームあたり1500bit、1フレームの中に300bitのサブフレームが5つ存在しています。この送信速度は、50bit/Sなので、1フレーム受信するのに30秒かかります。25フレーム全て受信するのに12分30秒かかりますが、基本的に1フレーム受信にかかる時間の誤差を計算し位置を計測しています。



IRNSSシステムの衛星配置
3つの静止衛星と4つの対地軌道衛星からなりインド全域をカバーする。

世界の測位衛星数の推移
全世界で140機を超える衛星が稼働している。
アメリカ:GPS(Global Positioning System)
最も多く32機の衛星が高度20,200㎞の上空を地球1周約12時間で飛行しており、その信号出力は50W程度と弱い。元々アメリカ軍の位置確認のために作られた1978年の軍事システムであったが、大韓航空機撃墜事件(1983年:ニューヨーク発ソウル便がサハリン沖ソ連軍機スホイ15に撃墜され、日本人28名、269名が犠牲)の発生後、民間航空機の安全航行目的の非軍事的用途(民生的活用)へ解放されました。
ロシア:グロナス(GLONASS)
アメリカ国防総省が軍事目的の開発より前に、ソ連時代から打ち上げ運用をしていましたが、ソ連崩壊により資金不足により衛星維持ができなくなり一旦は減少、ロシアとなり2009年までに全世界をカバーする計画で推進し、2011年から計画通り24機が高度19,100㎞の周回軌道し実用可能となっている。もともと日本国内で販売されているGPS受信機は、まずはGLONASS対応から拡販されてきた経緯がある。
ヨーロッパ連合EU:ガリレオ(GALILEO)
ヨーロッパ連合EUでは、2005年から様々な問題を抱えながら2016年から運用を開始しており、現在は高度24000㎞上空で30機周回軌道しており、軍事目的ではない民間主体の衛星航法システムである。EUはアメリカのGPSのように、軍事上の理由により、サービスの劣化及び中断が無いシステムと、GPSの数mの誤差に対して、1m以内にまで制度向上をPRしている。
中国:北斗(BDS:BeiDou Navigation Satellite System)
2012年に中国は、アメリカのGPSに依存しない独自システムでアジア太平洋地域での運用を開始している。2020年までに合計35機(うち4機が静止衛星)の衛星を打ち上げ、世界でのサービスを提供を予定している。
ここまでがGNSSと言われる世界で活用可能な衛星となります。
ここからは、Local(一定地域のみ)を補完する衛星という意味でRNSS(Regional Navigation Satellite System)と言われ、インドのIRNSSと日本の”準天頂衛星みちびき”がこれになります。
インド:IRNSS
IRNSSシステムは、7機の衛星と地上局から構成され、インド上空の3機は静止衛星、4機は左右に2機ずつ分かれて軌道衛星となって運用されており、インドの国土全体で10m、インド洋近海2000㎞の範囲で20m以上の正確さを目指しています。
日本:準天頂衛星「みちびき」(QZSS)
「みちびき」(準天頂衛星システム)とは、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システムのことで、英語ではQZSS(Quasi-Zenith Satellite System)と表記します。現在、私たちが使うDJI機はじめコンシューマードローンでは受信していない事はご存じでしょうか。今後は受信機追加し正確なGNSSサービスを受けられるよう進展を望みたいところです。
「準天頂衛星」という場合には、準天頂軌道の衛星と静止軌道の衛星の両方を合わせて呼ぶため、準天頂軌道の衛星を区別する必要がある場合は「準天頂軌道衛星」といいます。衛星測位システムとしては、米国のGPSがよく知られており、みちびきを日本版GPSと呼ぶこともあります。現在4機稼働しており、この4機が日本上空からオセアニア地方上空を8の字を描いた軌道で飛行しており、今後3機増加させ合計7機となる計画です。
(みちびきとは何か|みちびきとは|みちびき(準天頂衛星システム:QZSS)公式サイト - 内閣府より)
主な目的は、GPSだけでは、高精度の測位は得られないこともあり、常時日本上空に軌道する「みちびき」には、測位情報はもとより多くの情報発信サービス(災害危機管理情報の提供、Jアラート情報(ミサイル発射情報)、Lアラート情報(避難情報)を東南アジア、オセアニア地域向けの災害情報)を配信する予定です。
日本:QZSS 準天頂衛星「みちびき」が目指す計画と提供サービス

現在は4機体制だが、これから3機新たに、H3ロケットに載せ、打ち上げられる予定です。

8の字軌道にて、日本上空の天頂付近に滞在する衛星ですので、「みちびき」が送信する信号は山や建物に遮られにくく、GPSを補完し測位が安定しやすくなるのが特徴です。

左の地図での領域(1),(2)においての測位補強サービス
領域(1)
水平精度 静止時6㎝
垂直精度 静止時12㎝
領域(2)
水平精度 静止時30㎝
垂直精度 静止時50㎝
の誤差で位置情報を提供


「映像・パンフレット」一覧|映像・パンフレット|みちびき(準天頂衛星システム:QZSS)公式サイト - 内閣府より引用